すがすがしい初夏の季節となりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。
残したい日本の行事 ご紹介 vol.3 といたしまして、お盆についてご紹介したいと思います。
お盆は、お休みに帰省し家族で集まったり、お墓参りに行ったり、夏休みを利用し旅行など様々な過ごし方があるかと思います。そんなお盆ですが、もともとお盆にはどのような意味があるのでしょうか。
なんとなく、お盆の時期はお墓参りをするものじゃないの?とかご先祖様が返ってくるとか、この様な思いがあります。お盆にお墓参りをするようになった理由や、ご先祖様をお迎えする準備、またそのやり方についても、今に至っている理由があります。今回は、そんなお盆の知っておきたい行事の意味や由来をご紹介いたします。
お盆とは、ご先祖さまや肉親の精霊が帰ってきて、それをお迎えする時期の事で、家族と共にひと時を過ごし、生前のご恩に対しての感謝の気持ちを込めて供養する一年に一度のありがたい行事です。
お盆は、もともとは旧暦の7月15日を中心に行われる先祖供養の儀式を指し、お盆の正式名称は「盂蘭盆会」(うらぼんえ)といいます。このお盆(盂蘭盆会)は「盂蘭盆経(うらぼんきょう)」というお経に由来があると言われています。この盂蘭盆経(うらぼんきょう)では、釈迦の弟子、目連尊者(もくれんそんじゃ)が、亡き母が地獄の餓鬼道に落て苦しんでいることを知り、母を救う方法はないかとお釈迦様に相談をしました。お釈迦様は、「旧暦の7月15日(現在の8月中旬頃)に修行を終えた僧侶を招き心から供養すれば、母親を苦しみから救えるでしょう。」とおっしゃり、その通りにしたことで、母は無事、往生することができたと言われています。このような言い伝えから精霊を供養する風習が生まれ、日本で初めてお盆が行われたのは推古天皇の時代で606年と言われております。その頃は仏教が日本に受け入れられてからすぐの時代。お盆には私共の想像よりもはるかに長い歴史があるように感じます。
お盆の期間は地域によって異なる場所もありますが、7月又は8月の13日~16日に行われることがほとんどです。ご先祖様を迎える準備としてお盆飾りを用意するのが昔ながらの風習です。お盆飾りは、盆提灯をはじめ盆棚(精霊棚)を作ります。盆棚は仏壇の前に小机、経机を置き、真こもを使用したゴザをかけ用意をします。お盆に飾る提灯にはお迎えの迎え火としての意味合いがあり、ご先祖様は提灯のあかりで迷わずに帰ってくると言われています。盆飾りの中でもよく知られている、なすときゅうりで作った精霊馬には、先祖が馬にまたがり、荷物を背負わせた牛を引き連れて子孫のもとへ戻ってくると言われがあることから祖霊の乗る乗り物に見立てられ、現代では足の速い馬に乗って早く来て頂き、景色を見ながら牛に乗ってゆっくりと帰って頂くと言い伝えられている地域が多くあります。
お盆の飾りや、習慣は地域や家庭によって大きく異なることもありますが、それぞれが先祖の霊を迎えるための大切な習慣には変わりがないと感じました。近年、このような日本の古くからの風習は失われつつあると感じています。時代と共に変化することはとても大切な事です。しかし一方で昔ながらの伝統を後世へ伝承していく事も現在を過ごす私達には大切な役割であると思います。お盆の本来の意味を知ることで、今までよりご先祖様に対する感謝の気持ちが大きくなりました。
次回は、新盆についてご案内を予定しております。気温差がまだまだ大きい今日この頃、皆さまお体に気を付けてお過ごしください。