梅雨に入り、蒸し暑い毎日がつづいております。いかがお過ごしでしょうか。 前回ご紹介したお盆に引き続き今回は、新盆(にいぼん、あらぼん、しんぼん)、初盆についてご紹介したいと思います。地域や家庭によって呼び方も様々な新盆、初盆は、盆飾りやお迎えの風習も様々です。お盆の風習はこれが正解というものも難しいのですが、すべてに通づるのは故人様、ご先祖様をお迎えし感謝をする優しい気持ちのこもった風習なのだと日々皆様とお話させていただきながら感じております。
その中でも今回は、私たちが暮らしている茅野、諏訪地域の新盆についてご紹介いたします。新盆とは、故人様の四十九日が済んだ後、初めてお迎えするお盆の事です。新盆には故人様の霊が初めて家に帰に帰ってこられるので普段のお盆よりも丁寧にお迎えをします。僧侶をお迎えし読経をしていただいたり、ご親戚や故人様に縁があった方がお参りに来たりという事もありますので、準備は通常のお盆よりは少し早めに行うことをお勧め致します。また、ご親戚と新仏様をお迎えする場合は、日にちの連絡を先にしておくのも必要かと思います。
〖盆提灯〗 新盆では盆棚(精霊棚)の回りをできるだけ明るく賑やかにし、軒下に三ヶ月灯(吊提灯、切子等地域により異なります)を下げてお迎えをします。三ヶ月灯は盆提灯とは違い新盆の一年限りです。足掛け三ヶ月間軒下へ掛け灯りを燈します。茅野、諏訪、岡谷地域によっては燈籠をより高く掲げ、お墓のある方向に立てることで初めて家に戻る新仏様が迷わずに来られるよう高燈籠を作って立てます。さわらや松等の長さ七、八メートル太さ十センチメートル前後の木の先端の枝葉を残し枝を払い、皮むいた竿の上部に二等辺三角形を作ります。この三角形の中に縄で一筆書きの様に桔梗の花を結び庭に立てて燈籠をつるします。新盆の家で6月末頃から7月初め頃に親戚が集まって作り、三ヶ月間立て置きます。最近では作れる人が減っている為、高燈籠を作る地域でも軒下へ三ヶ月灯を掛けお迎えすることが増えています。お盆の後の燈籠の処分はお炊き上げや、自治体の指示に従ってください。販売店によっては回収してくださる所もございます。ご相談ください。
盆棚の周りを飾る盆提灯(絵柄提灯、壺型の置き型)は親戚の方や知人より送られるものと言われていますが、ご家庭で用意する場合もあります。家紋を付ける場合もあります。通常は一対で用意しますが、置く場所に合わせてご相談ください。最近では省スペースでデザイン性も高く、インテリアとも調和するような創作提灯も多く販売されています。提灯はお盆が終わったら、きれいに掃除をして来年まで保管をします。
『盆棚(精霊棚)』 地域や家庭により違いはありますが、壇掛けを敷いた祭壇を設け、お写真、お位牌を安置し、お盆のお供え物、霊供膳を始め、故人様の好物をお供えします。住宅事情等で祭壇を設けるのが難しい場合は、お仏壇の前に経机か小さめ台を用意し、かとぎやまこもを敷き、お供えをします。
『送り火・迎え火』 迎え火とは、故人様やご先祖様が迷わない様、目印として火を焚くお盆の風習です。13日の夕方に、自宅の門口などで行います。地域によっては、白樺を焚いたり、ほうろくくと呼ばれる素焼きのお皿の上でおがらを炊きます。お墓へ提灯をもってお迎えに行く風習もあります。 送り火とは、迎え火の逆でお盆を共に過ごした故人様やご先祖様を送る火を焚く風習の事です。16日の夜、迎え火と同様に「送り火」を焚いて見送ります。地域によりお仏壇の火を提灯のろうそくへ灯しお墓へ送る習慣もあります。
『返礼品』 法要を行う規模にもよりますが、お参りに来てくださった方への返礼品のご用意が必要になります。お盆の返礼品として、素麺が一般的ではありますが金額ごとに色々な種類のご用意もあります。見えられる方の人数もわからないこともあるかと思いますが、購入店舗や商品によっては納品数から使用した分が精算できる場合もありますのでご相談ください。また、親戚を招き、お盆を過ごす際にはお料理の準備を致します。
※お盆の過ごし方や、新盆、初盆の風習は地域、家庭によって様々です。しかしその中でも何より大切なのは故人様を思う心であることは一緒です。形式や、形にこだわりすぎず、その中でも大切な風習や、思いを伝えていけれるお手伝いを致します。
故人様が亡くなられてまだ日も経たない新盆ですので遺族の方としては思うこともたくさんあるかと思います。故人様を偲びお心静かにお盆をお過ごしください。